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  • 執筆者の写真azaminoone

外国人雇用の準備とは?②(従業員教育、他)

更新日:2022年8月24日

ある会社さんが、初めて外国人の雇用に踏み切ろうとする際の最難関は、前回①で述べた、処遇の公平さと透明性の確保の問題でした。これに勝るとも劣らないのが、教育体制の問題でしょう。この「教育」の対象分野は、大きく分けて


(1) 日本語教育、と

(2) 技術・専門知識教育


の二分野である、というのが一般的なご認識でしょう。特に技能実習制度と新在留資格「特定技能」の二つについては、上記二分野についての教育体制の整備が必須であり、会社さんが自前で(内部)体制整備するか、一部を外部委託するか、のいずれかの対応が必要となります。ところが雇用の現場では、それ以前の、もっと基本的な部分での日本(あるいは先進国)社会についての理解の必要性を痛感する、との声が聞かれます。


こんな話がありました。既に数か国(いずれもアジア圏)の出身者を雇用している会社さん(本社神奈川県)の、人事担当の管理職Aさんが、同社の東北工場に定期面接に赴いた際のことです。最近、同工場で勤務を始めたばかりの、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の技術人材Bさん(母国の有名工業大学の新卒で、日本語能力N3クラス)が、その面談の席で、「お金もたまり始めたので、そろそろ軽自動車を買おうと思う」と言い出したそうです。これに対して管理職Aさんは、日本で免許をとるのに必要な時間と費用、維持費(燃料代、税金等)を考えると、まだ早いのではないか、とたしなめたそうです。ところが、この助言に対してBさんが一番驚いたのは、自動車を買い、維持するのに「税金」がかかる、の部分だったというのです。


Bさんの母国では、まだ税金らしい税金の制度というものは未整備で、まして自動車にそんな費用がかかるなどとは夢にも思っていなかった、という訳です。外国人雇用管理の経験の長いAさんも、これには改めて考えさせられた、と言います。つまり、母国の有名工業大卒のエンジニアで、周囲の日本人工員よりも能力水準が高く、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で働くBさんクラスでさえ、このような、最も基本的な社会常識に欠けている。今更ながら、コミュニケーションにもっと注力しなければ、と思った、と仰るのです。それも、現場での就労環境の良し悪し以前の、社会制度や生活基盤についての理解度の確認のために、です。


在留資格「技術・人文知識・国際業務」なおもてこれを覚悟せず、いわんや技能実習生をや、なのです。ある良心的な監理団体職員Cさん(在留資格者外国人)は、最近の技能実習生の失踪多発について、こう言いました。彼らの入国・就職時の雇用条件説明の際に、(日本人にとっては今更説明の必要もない)税金や社会保険掛金、公共料金等を控除・支払い後の予想手取り給与を、事前に、具体的に試算して説明している会社が極めて少ない(ほとんどない?)からだ、と。つまり、来日までに抱いてきた「バラ色」の夢が、最初の給与明細を見た瞬間に吹き飛ぶからだ、というのです。この監理団体職員Cさんは、ほとんど毎日のように、日本中の(主に中小)企業に勤務する母国出身者達と面談し、悩みごとを聴いて回っておられる方です。


以上、二回にわたり、「外国人雇用の準備」(心構え?)について書きました。これらの意味するところは、要は、外国人雇用にはそれなりの「グローバルスタンダード」の整備が必要である、ということなのかもしれません。



ご参考 ⇒ https://www.aosjp.com/agency-servicesjp (Ⅳ 業務代行 → 7.)


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