メーカー時代②
前回、社内「女性活躍プロジェクト」を主導、と書きましたが、正直をいうと、本当の名称は女性「活用」プロジェクトでした。当時の一般的企業(上場)の経営意識としては、これが限度だったのです。内容としても、全社での職能別年俸制の導入と併せ、(事務方が大半だった)一般職の職位・給与をあえて頭打ちとなるよう改定し、それ以上の昇格・昇給のためには総合職に転換せざるを得ない、という構造としたものです。つまり、意欲ある女性には、給与の天井が取り払われ、職位の面でも「ガラスの天井」はなくなる、と。
インターネットで「キャリアアドバイザー養成セミナー」というのを見つけ、主催する「女性と仕事研究所」(NPO)がセミナーを行っている、六本木の廃校舎(NPOのオフィスとして区が格安に賃貸?)に出かけました。自治体から派遣された男性も一人いましたが、あとは全て、私費で参加している女性達でした。多くの方が「自己実現のため」と称し、土日開催にもかかわらず、遠くは九州からの参加でした。講習やディスカッションを通じ、彼女らの置かれた状況の厳しさを痛感しました。自社はまだマシなのだ、とも感じました。
社内で、主に部門長から推薦をつのり、職掌転換(一般職⇒総合職)候補者と一対一で面談を進めました。意外にも志願者は少なく、またやりたいことが明確な人は、ほとんどいませんでした。もちろん、制度変更を企画した私としては、とにかく意欲が問題、昇給目的でもそれはそれでよくて、最終的にどう働きたいかだ、と心得てはいました。「地位が人を造る」でもいい。とにかく毎日の仕事に意欲的に取り組んでほしい。そんな気持ちでした。
一方、年間500人こなした(「ハーフ千本ノック」)人事面談でも、一般職女性には一人残らず、今後のキャリアアップと研修・学習の問題と並び、職掌転換を考えませんか、と水を向けましたが、頑として断る人が多いのには頭を抱えてしまいました。これ以上はもう、企業の役割としては限界がある。やはり日本の社会全体としての、あるいは家庭教育からの転換なしには、変わらない。そう思えました。
技術職では、ポツポツと院卒女性が入社し始めていましたが、一般職女性の大半は高卒・短大卒でした。最初から自身の役割を限定するのが当然、とする考え方には、つくづく残念に感じました。「アシスタントがいいです。主担当はムリです。」今でも、この言葉が脳裏に焼き付いています。ただこう言いつつも、彼女の月間時間外勤務は数十時間に及ぶのです。夜明けは遠い。
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