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  • 執筆者の写真azaminoone

外国人雇用の準備とは?①(「同一労働同一賃金」の意味するところ、他)

更新日:2022年8月24日

日本の企業にとって、外国人雇用の問題は今日、喫緊の課題となりつつあります。ただ、特に中小企業にとって、そのハードルは引続き高いといえます。今日は、この問題の構造について考えてみたいと思います。


日本の中小企業が外国人雇用に踏み切ろうとする際、従来、その役職員が当然と考えてきたいくつかの「常識」に、見直しを迫られることと思います。その最たるものは、おそらく「同一労働同一賃金」でしょう。端的にいえば、長らく日本の雇用慣行として定着してきた、雇用形態(正規・非正規)による事実上の賃金格差という、わが国の「常識」により修正され、「建前」に留まってきた原則、という側面です。これを、企業経営の観点からみれば、


① 各職種を徐々に非正規化することにより、コストダウンと利益率の下支えを図ってきた、という「やむにやまれぬ」背景があり、

一方、同じ問題を労働市場の側から見れば、

② 結果的として組織率の低下につながった、という事実があります。


類似の問題として指摘されるものに、男女の賃金格差や、「ガラスの天井」などの問題があります。これらも含めた、日本特有の労働慣行の依って立つ基盤として従来から指摘されるのは、いわゆる「ムラ社会」性であり、日本人が何かと正面から説明しにくいものでした。社会基盤・法制度・文化背景などが深く絡み合っているものだからでしょう。


この種の説明のしにくさに、最初に苦しむことになったのは、海外駐在の日本人ビジネスマン達でした。彼らの多くは、各種の事業系人材でありながら、海外拠点展開の旗手としてやむなく、現地で採用面接や人事管理などを、初めてOJTの形で学ばざるを得ませんでした。その過程で、日本企業特有のメンタリティーと、現地雇用慣行との狭間で苦しみながら、何とか折り合いをつけようと、苦労してきました。そして今、同種の苦労を、国内型の「人事族」が経験することになった訳です。


いわく、企業内の特定の人材コア間に、評価・昇進バイアスが当然の前提と認識されていること、いわく、在職年数によってそれなりの昇進モーメントが働くこと・・・などなど。これら、論理的に説明しようのないことを、外国人スタッフに対しては阿吽(あ・うん)の呼吸で悟らせることができない以上、改めて何がしか、(部分)修正して文書化せざるを得ない。しかし、そうすると、上層部から不興を買うことになり・・・という具合です。


少子化と、それによる労働力不足という結果は、大きく見れば、国家の根幹的な政策の失敗によるものであり、また、いびつな労働人口ピラミッドは、「多数決」を通じて世代間の不公平を拡大する、という副産物をも生み出しました。そのツケは、ついには中小企業レベルの事業の存続問題にまで、及びつつあるという訳です。話が大きくなり過ぎましたね。元に戻します。


外国人労働者の日々の労務管理について、ある経験の深い役員クラスの方が力説されていたのは、「何はともあれ、こまめなコミュニケーションが大切」ということでした。その会社さんでは、5人ほどの作業チームを同一国の出身者で構成し、ほぼ毎日、短時間でも役員さんご自身で、一人一人と顔を合わし、その日の作業について感想を聴く、ということを続けておられるとのこと。本当に頭の下がるお話で、そのようにしながら、各チーム内にリーダークラスを、一人ずつ養成してゆきたいとのことでした。誠に、ナマ身のヒトを相手にする仕事というのは、地道な、大量生産の効かない作業であると再認識させられました。



ご参考 ⇒ https://www.aosjp.com/agency-servicesjp (Ⅳ 業務代行 → 7.)


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