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  • azaminoone

「私の履歴書」13 超激務Ⅲ(「名寄せ」)

更新日:2020年10月20日

銀行員時代⑥


国際審査部での在勤中、ある先進国で信用不安が明らかとなり、融資先企業のデフォルト(債務不履行)の懸念が高まりました。そもそも邦銀の海外向け融資は、戦後しばらくして、途上国向けのシンジケーション(協調融資)参加から始まり、既に一部、リスケ(返済計画見直し)も経験済でしたが、1980年代に入って各国私企業向け(地場非日系)融資が本格化して以降では、これが初めてのリスケ交渉だったと思われます。その際、各行が初体験したのが、海外非日系企業の連鎖倒産の恐怖でした。


これを機に、保証関係や資本関係などで、どこまでが連鎖倒産リスクとして想定されるか、が海外融資審査の課題に加わりました。当時、国内ではバブル崩壊が水面下で噂される中、想定はされても、表立って連鎖倒産が具体化する例は、まだまだ稀でした。しかし一方で、上述のような連鎖倒産が簡単に起り得る国が、少なくとも一部にはあるということが、邦銀にとって新たな脅威となった訳です。


この際に改めて注目されることになったのが、香港地場(非日系)企業向け融資については以前から行われてきた、グループ取引管理(いわゆる「名寄せ」)でした。香港地場向け融資では、当初から華僑向けを中心とした各企業集団向けの関連融資・保証を、稟議の度に一覧表で合算し、各総額(「トータルエクスポージャー」)として確認し合う、という管理手法が慣例として行われてきたのです。


この手法こそ全世界に拡張すべし、との部内上層部の問題意識から、これに慣れていた私が世界の各支店向けに情報発信し、同様に稟議の度、各企業グループ向けの関連融資・保証を一覧(「名寄せシート」)にして稟議に添付するよう、呼びかけた訳です。当時私は、部内のある先輩に続き、当時世の中に出回り始めた「98ノート」を自費で購入し、前回述べた副申(審査担当者作成の採否意見書)や添付資料の作成に使用していたので、こうして集まって来る名寄せデータを、当行全世界の融資・保証について支店横断で合体し、データベースにするという作業を開始しました。そしてその結果を、半年刻みで世界の各支店に一覧表として還元し、与信管理に活用してもらう、という構想でした。


幸いにして各支店から賛同をいただき、大量のデータ(数千社分)が集まるようになりました。結果、これをまとめる作業量も膨大となり、本業である香港地場融資審査と並行で進めるのに、困難を感じ始めました。データ量が多いので、一日の作業が終わると、印刷を開始したところで終電に駆け込み、翌朝出勤すると印刷が終わっている、という毎日になりました。ついに休日出勤しないと間に合わなくなり、土日祝日なく働いて、とうとう185日間連続出勤となりました。これが一区切りつくと、今度は、本業の香港地場不動産融資・保証・担保データの名寄せにとりかかり、「香港不動産融資マップ」を完成させました。


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